ソフトバンクグループが描くAIの進化

近年、AI(人工知能)の進化は目覚ましく、特に生成AIの登場により、さまざまな分野での技術革新が加速しています。創業来「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を掲げているソフトバンクグループ株式会社(SBG)では、情報革命を担う最先端のテクノロジーの一つであるAIのさらなる進化形の「ASI(Artificial Super Intelligence、人工超知能)」の実現に向けて取り組んでいます。SBGの代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義は「ASIの実現により、がんや脳梗塞、交通事故、災害、パンデミックなどの絶望から人類を救えるかもしれない」と第44回定時株主総会(2024年6月開催)で語っています。

人類20万年の歴史を振り返ると、火の使用、農業の発展、産業革命、コンピューターの発明といった技術革新が、人類の発展を大きく推進してきました。特に、レオナルド・ダ・ヴィンチやアインシュタインのような天才たちは、科学、芸術、工学など多岐にわたる分野で画期的な発見を生み出し、人類の知的発展を加速させてきました。こうした知の蓄積の延長線上に、今日のAI技術の発展があります。

現在、多くのテクノロジー企業がAGI (Artificial General Intelligence: 汎用人工知能) の開発に取り組んでいます。AGIは人間のような汎用的な知能を持つAIで、学習や問題解決を自律的に行う能力を持つとされています。2~3年以内よりももっと早く実現し、人間に代わって人類の加速度的な進化を牽引していくでしょう。孫は、「AGIは天才たちと同等レベルであり人間の範疇に留まる限り、人々の生き方や社会のルール、仕組みが劇的に変わることはないでしょう。一方で、ASIは単なる知識の集積ではなく、AGI同士が相互に影響を与えながら学習し、自己進化を遂げることで実現すると想定されます。ASIが実現すれば、人類の叡智の1万倍の知能を持つ存在へと進化し、予測や意思決定、問題解決能力において圧倒的な優位性を持つようになるでしょう」と語り、ASIが10年以内に実現すると予測。これまでのすべての常識が変わる転換点を迎えようとしていると述べました。

パーソナルエージェントの世界

では、私たちの生活においてAIはどのように役に立つのでしょうか?

ソフトバンクとして最大規模の法人向けイベントである「SoftBank World 2024」(2024年10月開催)で、孫は 「知る、理解する、考える、発明するというレベルにまでAIが来たら、もっと日常的なレベルでAIが我々に寄り添う「24時間自分専用のエージェント」が実現するだろう」と語っています。「私はこのパーソナルエージェントが、今から2、3年以内に登場すると思います。例えば、病院に行くと色々なことを聞かれますが、パーソナルエージェントは普段から常に自分と一緒にいるので家族の状態を知っていて、怪我したらどんな応急処置がよいか教えてくれるだけでなく、すぐに最寄りの開いている病院を探してくれたり、あなたの代わりに電話をかけまくってくれる。家庭教師や相談相手、メールの管理もしてくれるなど、ありとあらゆることをしてくれる。それがあなた専用のパーソナルエージェントです。そしてその後はエージェントtoエージェント(AtoA)の世界がやってきます」と続け、AtoAの世界では、寝ている間にそれぞれのエージェント同士がランチの予定を立ててくれたり、調整をしてくれる。加えて、パーソナルエージェント同士だけでなく、自動車などのものにもエージェントが備わり、それらともつながる世界が来るとも述べました。

「ASIは『知能』だけでは有能である一方で、危険な存在にもなりかねない。しかし、『知性』を持つことで、単なる能力を超え、私たちを守り、幸せにしてくれる存在へと進化していく。」 孫は、AIを単なる人工知能にとどめるのではなく、人工知性、超知性までへと進化させることの重要性を強調し、思いやりや慈愛、慈しみといった、より深い精神的な関係性を持つ存在になる可能性について言及しました。 また、孫はAIの進化を8段階に分けて予測。 その中で、AIが感情を理解し、長期記憶としてライフログを保持し、やがて自らの意志を持つようになり、調和のとれた人類の幸福を願う存在へと発展する未来像を描きました。

ASI実現に向けての取り組みについて

AGIが現実のものとなりつつある中で、その先にあるASIへの進化を加速させるためには投資と開発が不可欠です。SBGは大きなテーマとして挙げている「AIチップ」、「AIデータセンター」、「AIロボット」、「電力」の4つを通じ、ASI実現をグループの総力を挙げて推進しています。

孫は、「創業来の経営理念である 『情報革命で人々を幸せに』こそわれわれの本業であり、その実現のための手段を進化させてきたに過ぎません。テクノロジーの進化に伴って、手段は進化させていくべきなのです。新たな手段であるASIの実現を通じて、われわれの使命である人類の進化に貢献していきます。」と第44回定時株主総会(2024年6月開催)で語っています。SBGは、AIの恩恵を広く社会全体が享受できるよう、世界で最もAIを活用するグループを目指し、責任あるAIの実現に向けた取り組みを推進しながら、AI革命を推進していきます。

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