ソフトバンクグループ株式会社(以下SBG)は、2025年5月13日に2025年3月期の決算を発表しました。同日に開催した2025年3月期 決算説明会では取締役 専務執行役員 CFO 兼 CISOの後藤 芳光が登壇し、2024年度の振り返りと、ASI(人工超知能)の実現に向けた取り組みについて説明しました。
本記事では、ASI実現に向けたAI戦略の進展にフォーカスしてご紹介します。

SBGは、創業以来「情報革命で人々を幸せに」の経営理念のもと、一貫して歩みを進めてきました。後藤は「ソフトバンクグループは何屋なのか?」という問いに対して、答えはぶれずに「情報革命屋である」と述べ、ソフトウエア流通のインフラ構築から、出版事業、インターネット、ブロードバンド、スマートフォン、そして現在のAIへと、その時代に必要とされる情報サービスを人々に使ってもらうため、「情報」のインフラを整備し続けてきたのがソフトバンクグループだと述べました。
大きな一歩を踏み出した芽吹きの1年

後藤は、2024年度はASI実現に向けた「芽吹きの1年」だったと振り返りました。主な取り組みとしては、OpenAIおよびOracleと共に大規模なAIインフラを構築する「Stargate Project」を、続いて企業ごとにカスタマイズされた最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」の開発・販売に関するOpenAIとのパートナーシップを発表しました。さらに、OpenAIへの最大30億米ドルの追加出資をコミットし(ファーストクロージングは既に完了)、Ampere Computing(アンペア・コンピューティング)の買収決定を挙げました。
ASI実現にむけた半導体ビジネスの強化
SBGは2025年3月、Ampereを65億米ドルで買収することを発表しました。買収完了は2025年後半を見込んでいます。同社は、クラウド・AIに特化したArmベースのサーバー向けチップ設計で実績を持つ企業で、約1,000人の熟練エンジニアを擁しています。

後藤はこの買収の目的として以下3つを挙げました。
- 優秀なエンジニアの確保
約1,000名の経験豊富な半導体エンジニアが在籍しており、先端半導体の設計を中核から担える開発力を保有している。 - 「テープアウト」の確かな実績
複数製品においてチップの設計完了から工場までのデータ送付である「テープアウト」を自社で遂行してきた実績があり、確かな技術力とプロジェクトマネジメント能力を備える。 - アームの設計力を補完
Armアーキテクチャに最適化されたサーバー向けチップの設計力は、アームとの相互補完関係をさらに強化する。
グループのAI戦略のビジョン

続いて後藤はソフトバンクグループのAI戦略の現況について説明しました。「AI計算能力」「AIデータセンター」「AIモデル」「AIアプリケーション」という4つの柱を軸に進められており、それぞれが連動することで、ライフスタイルやワークスタイルが大きく変わっていくという期待を述べました。
まず、「AI計算能力」では、アームを中心にGraphcoreとAmpereを擁することで、AIの計算能力はスピード、質量ともにますます高くなっていきます。「AIデータセンター」では、AIインフラを構築する「Stargate Project」に取り組んでいます。これを使うOpenAIが、AIモデルを開発しています。さらに、「AIアプリケーション」では、こうしたAIモデルを活用して「クリスタル・インテリジェンス」をはじめとする多種多様なサービスの展開をしていきます。
1年の取り組みの成果


この1年の成果として「各領域のプレイヤーが揃ってきた。」「草野球」から「プロ野球」レベルにまで陣容が近づいた。と後藤は説明しました。


また、現在の構造は、SBGが18年前の2007年に決算説明会で発表したSBGの主戦場である「インフラ、ポータル、コンテンツ」という三層構造の再解釈にあたると説明しました。

- 内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。
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