ソフトバンクグループ株式会社(以下SBG)は、2025年8月7日に2026年3月期 第1四半期決算説明会を開催しました。登壇したCFOの後藤 芳光が、当四半期の連結業績を説明する中で、「10年後にASIのNo.1プラットフォーマーになる」という会長兼社長 孫 正義の発言を振り返りました。
本記事では、ソフトバンクグループのAIへの取り組みにおいて重要な役割を担うアームとOpenAIの2企業にフォーカスしてご紹介します。
AI時代のさなかで

後藤は、これまでのAIブームとSBGのAIへの取り組みを重ね合わせて振り返り、2016年のアーム買収について「アームなくしては、SBGのAIの歴史を語ることはできません」と強調しました。また同年には、「AlphaGo」が囲碁のトップ棋士に勝利しました。「AIが直感や想像力、人間らしさのようなものを獲得し始めたのではないかと社会に衝撃を与える象徴的な出来事で、第3次AIブームが本格化する契機となる1年でした」と説明しました。その後、2020年11月の2021年3月期 第2四半期 決算説明会で、会長兼社長の孫 正義が 「AIを制する者が未来を制す」と発言。その2年後には第4次AIブームが始まりました。2024年からOpenAIへ出資していることにも触れ、「現在は、ChatGPTを中心とした新たな生成AIの時代に突入しています」と、AI戦略の重要性を改めて強調しました。
コンピューティングの基盤を支えるアーム

アームの2025年4ー6月期のロイヤルティー収入は、前年同期比で25%増加しました。後藤はコンピュートサブシステム(CSS)について「複数のアームのCPUなどをあらかじめ統合したパッケージであり、顧客は開発期間の短縮やコストの削減が可能になります」と、アームのロイヤルティー収入の増加にもつながっていると説明しました。さらに、アームがクラウド市場でシェアを拡大している点について「今年、主要なハイパースケーラーが導入するサーバー向けチップのうち、50%程度がアームベースになる見通しです。そして、アームベースチップでクラウド処理をしている企業は、2021年と比較すると14倍以上に増加しています」と今後のさらなる成長への期待感を示しました。
OpenAIの成長とソフトバンクグループとの協業

OpenAI は、引き続き急速かつ幅広い分野で成長を遂げています。ChatGPTは、週次アクティブユーザー数が増加傾向にあり、2025年3月には5億人を突破しました。そして、8月には7億人に達するだろうという報道もあります。また、有料アカウントを保有するビジネスユーザー数は現在300万を超えており、2025年2月以降で約50%増加しました。
後藤は、2025年3月に発表したOpenAIへの追加出資についても説明した上で、OpenAIを「ソフトバンクグループにとって、単なる投資先ではなく、AI革命を実現するための最重要パートナーです」と位置づけました。OpenAIとの協業の一例である「クリスタル・インテリジェンス(Cristal intelligence)」について、後藤は「今、グループ全社で総力を挙げて AI agents の徹底活用のための準備を進めており、10億 AI agents 構築を目指しています。ソフトバンクグループには1億人のお客さまがいらっしゃり、5万人の社員と2500ものシステムがあります。そのことが、AIエージェントの活用が最も必要とされる企業の一つであることを示しています」と説明。また、「Stargate Project」も協業の一例として触れ、「さまざまなステークホルダーの方と多くの議論を積み重ねながら今に至っています。そして、完成までのスケジュールを把握しながら、用地の選定および設計を急ピッチで進めているところです」と現状を説明しました。
ASIのNo.1プラットフォーマー

後藤は最後に「第45回定時株主総会(2025年6月開催)で、孫が『10年後にASIのNo.1プラットフォーマーになる』と語りました。10年後にASIという全く新しい領域において基盤となる企業になるために、いま我々がすべきことは何かを考えて『情報革命で人々を幸せに』という経営理念のもと、日々取り組んでいきます」と述べ、プレゼンテーションを締めくくりました。

関連リンク
2026年3月期 第1四半期 決算