NAVは上昇、上期純利益は過去最高益を大幅更新 ― ソフトバンクグループ株式会社 2026年3月期 第2四半期 決算説明会

OpenAIの公正価値上昇が牽引し、NAVは33.3兆円に

2025年11月11日、ソフトバンクグループ株式会社(以下、SBG)は2026年3月期 第2四半期 決算説明会を開催しました。CFOの後藤 芳光は、OpenAIの公正価値上昇が牽引し、重要指標であるNAV(時価純資産)が9月末時点で33.3兆円(6月末比0.9兆円増)となり、11月10日には過去最高の36.2兆円(※)に達したことを説明しました。
(※2025年11月10日時点の株価・為替レートを適用して試算した参考値)

また、上期純利益が過去最高益を更新したこと、ならびに「フィジカルAI」への取り組みについて言及しました。

2025年度上期は順調に推移

2026年3月期 第2四半期は、OpenAIに係る投資利益が146億米ドルとなりました。上期純利益は2.9兆円(前年同期比1.9兆円増)と過去最高益を大幅に更新。LTV(純負債/保有株式価値)は16.5%、手元流動性は4.2兆円と、財務の安全性も確保されていると後藤は説明しました。

連結業績について、投資損益、税引前利益、純利益は上期最高益を更新しました。

ビジョン・ファンド事業の本格反転

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)事業について、後藤は「(OpenAI以外の)ほかのポートフォリオもしっかり成長しているということも見ていただきたいポイントだ」「本格反転の時期を迎えつつあるのではないか」とコメントしました。

これまでのIPO(株式公開)実績は累計58件に達し、第2四半期には決済サービスのKlarnaが新規にIPOを行ったと紹介。また、今後の上場候補となりうるレイトステージ投資先の公正価値合計は560億米ドル(6月末比110億米ドル増)となっています。国内決済大手のPayPayは登録ユーザー数が7,100万人を突破し、EBITDAが前年同期比倍増の483億円となるなど、業績も財務も堅調であるとコメントしました。

アーム事業の成長とAI半導体戦略

アームの業績について、上期の売上高と、その内訳であるライセンス収入、ロイヤルティー収入はいずれも過去最高を記録したことを報告しました。

成長の原動力となっているのが、複数のアームテクノロジーを統合した「コンピュート・サブシステム(CSS)」です。MicrosoftやSamsungといった主要顧客での採用が進んでおり、累計契約件数は19件に達しました。さらにアームは、モバイル端末向けにAI処理性能を最大5倍向上させた「Lumex CSS」を発表しています。後藤は、同社がAI半導体市場における存在感をさらに高めていくだろうとの見方を示しました。

OpenAIとの連携深化

OpenAIは10月28日付けで組織再編を完了し、営利部門である公益法人「OpenAI Group PBC」を設立したと発表しました。その上で、非営利組織である「OpenAI Foundation」が、株主として約26%の持ち分を引き続き保有する形となっています。また、同月行われた従業員持分の売り出しにSVF2も参加しました。SVF2は、2025年12月に予定している総額225億米ドルの出資を完了すると、同社株式の約11%を保有することになります。

ChatGPTは2025年10月にグローバルにおける週間アクティブユーザーが8億人を突破しました。後藤は「同様のサービスを提供している他社と比較しても、OpenAIは圧倒的なポジションを保ち続けている」と説明しました。

また、ソフトバンク株式会社、SBG、OpenAIは2025年11月5日に企業向けAIサービスを展開するSB OAI Japan合同会社を発足。同社はAIで企業の経営を変革する「クリスタル・インテリジェンス(Crystal intelligence)」の展開を目的とした合弁会社で、2026年には日本国内における独占展開を開始します。

「フィジカルAI」の取り組み

続いて、「フィジカルAI」について触れ、「機械のように実際に稼働する領域とAIの領域が一体化していく。そして複雑な行動を自律的にできるようになるような時代がかなり近くなっているだろう」と述べました。そして、15年前である2010年に発表した「ソフトバンク 新30年ビジョン」で共有した、優しさを持った知的ロボットと人類が共存し、共に未知の課題を解決していくという未来像について改めて言及し、そうした時代の実現に向けて進む姿勢を示しました。

ABBロボティクス事業の買収と自動運転分野への投資

フィジカルAIへの大きな一歩として、後藤は、2025年10月に合意に至ったスイスのABBのロボティクス事業の買収を挙げました。

ABBのロボティクス部門は、産業用ロボットの出荷台数で世界第2位のシェアを持ち、世界44カ国に拠点を展開しています。この買収が完了すると、SBGはロボット分野における強力な事業基盤を獲得します。

自動運転分野では、地図情報を必要としない独自のAI自動運転技術を持つWayveや、無人配送車のNuroへの投資を通じて、フィジカルAIの実装を推進しています。Wayveは日本国内でも公道での実証を開始し、短期間で日本の交通環境に適応するなど高い技術力を示しています。

財務方針と今後の展望

財務運営について、厳格な財務ポリシーを維持する方針に変更はありません。「LTV25%未満」「2年分の社債償還資金の確保」という基準を堅持しつつ、成長投資のための資金調達を行っています。

OpenAIへの追加出資やAmpere Computingへの出資など、今後の大きな投資に備えて、Tモバイル株式やNVIDIA株式の売却、アーム株式を活用したマージンローンの増枠など、保有資産や負債を活用し、様々なチャネルを通じた資金調達を進めています。また、投資家層の拡大を目指し、2026年1月1日を効力発生日として、1株を4株に分割する株式分割の実施を発表しました。

最後に後藤は「頭脳であるASIと身体となるロボットの組み合わせが私たちのライフスタイルやワークスタイルにどのように革新的な影響を与えるのか、そしてそれによって私たちがどれだけ幸せになれるのかを考えることが、SBGの使命だろうと思っております。フィジカルAIの分野でリードできる存在になりたい」と今後の展望を語りました。そして、SBGが10年後にASIのNo.1プラットフォーマーになるという目標を掲げ、その実現に向けた取り組みを着実に進めていく姿勢を改めて示し、説明会を締めくくりました。

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2026年3月期 第2四半期 決算

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