2026年5月13日、ソフトバンクグループ株式会社(以下、SBG)は2026年3月期 決算説明会を開催しました。CFOの後藤 芳光は、ASIのNo.1プラットフォーマーに向けて本格始動した1年だったと説明しました。
NAVは当社史上最大に
重要指標であるNAV(時価純資産)は、2026年3月末時点で40.1兆円と当社史上最大になりました。2026年5月12日時点の株価・為替レートを適用し試算した参考値は47.7兆円に達しています。
財務の安全性を示すLTV(純負債/保有株式価値) は2026年3月末時点で17%まで改善し、手元流動性は3.5兆円と増加しています。
2025年度の純利益は5兆円を超え、当社史上最高益を記録。SBGが調べた範囲では、日本企業として史上最高となりました。
ASIのNo.1プラットフォーマーに向けて4つの分野で投資や事業を展開
ASIのNo.1プラットフォーマーに向けて、SBGは2025年度に「AIモデル」「AIチップ」「フィジカルAI」「AIインフラ」の4つの分野において関連する投資や事業の展開を進めてきました。
OpenAIの企業価値が大幅上昇
AIモデル分野では、OpenAIが大きく成長していることに言及しました。同社の企業価値は、2025年3月時点の2,600億ドルから、2026年2月時点には7,300億ドルへと大幅に上昇しています。SBGは同社に対して2025年度に324億ドルを出資しました。本年2月には300億ドルの追加出資をコミットしており、3回に分けた払い込みのうち、ファーストトランシェとなる100億ドルは4月1日に実行済みです。追加出資完了後には、SBGのOpenAIに対する累計投資額は646億ドルとなり、SBGの持分比率は約13%となる見込みです。
コンシューマー向け・エンタープライズ向け事業ともに成長中
OpenAIの提供する「ChatGPT」は、2026年2月時点でグローバル週間アクティブユーザー数が9億を突破しました。また、コンシューマー向けに加え、エンタープライズ向けの事業も拡大しています。OpenAIの総売上に占めるエンタープライズ向けの比率は2026年4月時点で40%以上に達しており、同社は、年末にかけてコンシューマー向け事業と同規模まで成長すると予想しています。
コンピュートがAIの進化を支える
後藤は「より多くの計算能力を手にした技術会社が、より高度なAIモデルを生み出すことができる」と説明。OpenAIは、チップメーカーやデータセンター事業者、クラウド事業者などの様々なステークホルダーと連携しながらコンピュート能力を拡大しており、これが同社の強みになっていると述べました。
Armの時価総額が過去最大級に
AIチップ分野においては、Armの成長について説明しました。同社の時価総額は2026年3月末時点で1,610億ドル、さらに同年5月12日には2,210億ドルとなりました。
売上高は49.2億ドル(前年度比23%増)と順調に拡大しており、クラウド市場におけるシェア拡大に加え、コンピュート・サブシステム(CSS)の採用拡大が成長を後押ししました。
「Arm AGI CPU」発表
また、Armは2026年3月に初の自社設計シリコンチップ「Arm AGI CPU」を発表。Metaと共同で開発が進められた本製品は、複数のローンチパートナーによる導入が予定されています。Armは、この新しいビジネスモデルを通じて、5年後には売上高が約5倍になるとの見通しを示しています。
フィジカルAI推進のため体制整備
フィジカルAI分野では、ロボティクス関連の投資先約20社を中間持株会社ロボHDに集約したことを説明しました。
また、後藤は、フィジカルAIのポートフォリオとして「自律モビリティ」「自動化インフラ」「ロボット」の3分野を中心に、ロボHD傘下を含め合計30社超に投資してることに触れ、「ユニコーンレベルまで成長してきている企業もある。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの回復はOpenAIに因る所が大きいが、決して『OpenAI一本足打法』ではないということが、大事なところだ」とコメントしました。
さらに、2025年10月にはABBのロボティクス事業の買収を発表しており、2026年後半の買収完了を予定しています。
米国にて官民連携AIインフラプロジェクトを発表
AIインフラ分野では、2026年3月に米国オハイオ州で「PORTS Technology Campus」の起工式を行い、米国エネルギー省、米国商務省、SB Energy、AEP Ohioによる官民連携AIインフラプロジェクトを発表しました。
このプロジェクトでは、10GW規模の発電設備とAIデータセンターの整備を計画しています。後藤は「孫も、このプロジェクトはこれからのAIの飛躍的な発展を象徴する案件だと強く確信している」と言及しました。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業の累計投資利益が大幅増加
ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)事業では、全体の累計投資利益が大幅に増加し、457億ドル(前年度末比462億ドル増)となりました。
SVF2の累積投資利益も黒字転換を達成。後藤は「OpenAIの貢献が大変大きい。ただ、それ以外にも楽しみな銘柄がいくつもある」と期待感を示しました。なお、2025年度は7件のIPOがあり、活動開始以来累計で62件となりました。
このうちの1件として、2026年3月には、PayPay株式会社がNASDAQに上場。上場時の時価総額は120億ドルとなり、日本企業による米国単独上場として最大規模のIPOとなりました。キャッシュレス決済サービス「PayPay」の登録ユーザー数は7,300万人を超え、連結決済取扱高(GMV)も年間19兆円規模まで拡大しています。
大規模投資の中でも財務方針は堅持
2025年度には、SBGとSVFの合計で440億ドルの投資を行いました。2026年度には、OpenAIへの追加出資に加え、ABBのロボティクス事業およびDigitalBridgeの買収を予定しており、2026年3月時点で合計385億ドルの投資をコミットしています。これらに備え、SBGは総借入限度額400億ドルのブリッジファシリティ契約を締結しました。
大規模な投資を進める中でも、LTVは通常時25%未満で運用し、少なくとも2年分の社債償還資金を保持することで財務の安全性を維持していく、という財務方針に変更はありません。
AI革命の中心へ
2026年4月、会長兼社長の孫 正義は「次の30年、われわれはAI革命の中心となることを目指す」とコメントしました。
SBGはそこから逆算し、今、 必要な取り組みを一つずつ進めています。後藤は「財務管理においても、戦略的思考の経営と同じスピードで走りながら、最大の安全性を維持しつつ企業価値の最大化を図っていく」と述べ、説明会を締めくくりました。
関連リンク
2026年3月期 決算