Armの歩み(前編)

  • 本記事は、2026年3月24日にArm Newsroomに掲載された英語記事を日本語訳・編集したものです。

Armが世界で最も広く普及したコンピューティングプラットフォームへと成長するまでの歩みは、1990年の会社設立以前にまでさかのぼります。その歩みの中で、Armは会社としての重要な節目を重ね、製品面でも数々の成果を生み出してきました。

Acorn時代

Armのルーツは、1978年にAcorn Computers(以下、Acorn)がChris CurryとHermann Hauserによって設立されたところまでさかのぼります。同社は、国内全ての学校にコンピュータを設置することを目的とした英国政府のプロジェクトの一環として、BBC Microの開発・製造を担うことになります。このプロジェクトの中で、Steve FurberとSophie Wilsonが、最初のArmプロセッサーであるARM1を設計しました。

ARM1は、ワードプロセッシングや表計算、グラフィックスレンダリングなど、Acornコンピュータ上で動作するプログラムの命令を効率的に実行するように設計されました。これが、現在さまざまなデバイスや市場で広く利用されているArmプロセッサーの基盤となりました。

その後、Acornは80年代半ばに経営不振に陥り、Olivettiに買収されました。Hauserは同グループの研究担当バイスプレジデントに就任しましたが、その後まもなく退社しました。一方、FurberとWilsonは、次のArmプロセッサーであるARM2コアの開発を続けました。

Armの設立

Armは1990年11月、Advanced RISC Machinesとして設立されました。これは、Acorn、Apple Computer(現 Apple)、そしてVLSI Technology(現 NXP Semiconductors)による合弁会社です。創業メンバーは、Armアーキテクチャの設計に携わった12人のエンジニアでした。そのメンバーはJamie Urquhart、Mike Muller、Tudor Brown、Lee Smith、John Biggs、Harry Oldham、Dave Howard、Pete Harrod、Harry Meekings、Al Thomas、Andy Merritt、David Sealです。

1991年には、Robin Saxbyが初代Chairman兼CEOとして参画。チームはケンブリッジシャーにある古い七面鳥小屋を拠点に、コンピューティングの世界の変革に向けて歩み始めました。

新しいIPビジネスモデル

1993年、Armアーキテクチャを採用したApple Newtonが発売されました。しかし、この製品は商業的には成功せず、Saxbyは個別の製品だけに依存したビジネスでは、Armは会社として成り立たないと実感しました。そこで彼は、当時は一般的でなかったIPビジネスモデルを導入しました。このビジネスモデルは、Armプロセッサーの製造権をさまざまな企業にライセンス提供し、前払いのライセンス料と、半導体の生産量に応じたロイヤリティを受け取る仕組みでした。

モバイルに参入

1993年、Armは半導体メーカーのTexas Instrumentsと契約を締結しました。Texas InstrumentsがNokiaに対して、発売予定のGSM携帯電話にArmアーキテクチャを採用することを提案した結果、ArmベースのGSM携帯電話 Nokia 6110が生まれ、大きな成功を収めました。これを契機に、Arm7プロセッサーはモバイル機器向けの主力設計として広く採用されるようになり、現在では、世界中のスマートフォンの99%以上がArmアーキテクチャをベースとしています。

会社の上場と成長

1990年代における成功を背景に、1998年4月17日、Armはロンドン証券取引所とNASDAQへの同時上場を果たしました。2000年代初頭のITバブル崩壊にもかかわらず、Armは着実に成長を続けました。SaxbyはCEOを退任し(2006年まで会長として続投)、2001年にWarren EastがCEOに就任。2000年代のモバイル市場での成功により、Armのプロセッサーアーキテクチャがモバイル市場で広く採用されるようになりました。その結果、従業員数は2000年代のわずか3年間で400人から1,300人へと3倍以上に拡大しました。

製品ラインの多様化

Armの会社としての成長は、製品ラインの多様化につながり、2000年代にはCortex-A、Cortex-R、Cortex-MというCPUプロセッサーを市場に投入します。Cortex-Aはモバイル分野における高性能化と高効率化を引き続き推進しました。Cortex-Rは接続性が高まる時代において、高度に特化したリアルタイム処理のニーズに対応しました。一方、Cortex-Mは、拡大しつつあったIoTで普及し始めたマイクロコントローラー向けに、超低消費電力で低コストのプロセッサーコアを提供しました。さらに2006年には、ノルウェー科学技術大学の研究プロジェクトからスピンオフしたFalanx Microsystemsを買収し、これがMali GPU製品ラインの開発につながりました。

本記事は全2回の前編です。

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英語記事:The official history of Arm
Armについて

著者:Arm編集部
翻訳・編集:AI⇒SoftBank Group編集部

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